かざぐるま

埼玉県在住の20代サラリーマンです。基本おしゃべりな性格のまま、おしゃべりみたいなブログを書いています。

金融教育

現在、多くの国が導入している資本主義社会は、貨幣の発展抜きでは語ることはできまい。資本主義社会では、労働に価値を定め、自らの時間を労働のために消費し、それをお金という共通の単位に変換する。そして、大衆は自らが持っているお金の価値を認識するために、通貨という一定の地域で使用される共通の単位を用い、使用する際には、貨幣を用い、自分が求めている商品と交換する。資本主義社会以前にも貨幣経済は存在した。しかし、資本主義以前の社会では、資本家と労働者の関係は存在せず、労働ではなく、自らが生み出した商品を貨幣に変換することでしかお金を獲得することはできなかった。そのため、安定したお金の収入は少なく、物々交換と貨幣経済を織り交ぜた社会形態が一般的であった。

これに対し資本主義社会では資本家と労働者の関係が存在した。これがもたらす影響として、安定した収入が挙げられる。労働者は資本家に労働力を提供することで、対価として一定のお金を給与という形で獲得する。この行程を一連の流れとして、資本家と労働者双方の合意に基づき契約関係になることが雇用関係である。雇用関係を結ぶことで労働者は安定した収入を得ることができる。資本主義経済勃興当時は、産業革命に伴う工場従事者に代表される、単一の業務を決まった量こなす人材が、雇用関係を結ぶにあたり、労働者に求められた。

戦後の日本も同様に当てはまる。日本の高度経済成長はテレビの普及に伴うマスメディアの単一需要の促進と、その需要を賄う生産のサイクルによる大量生産、大量消費型の経済を形成することでなしえた。この大量生産を成しえるためには、業務効率化と決められた業務をこなす労働者が求められた。資本家の求める労働を提供する人材を育成するための施策の一つとして、日本の教育制度は存在した。

日本の教育制度がもたらした効果として、一般的な教養を土台として広く普及したことと、教師という位の高いものの指示に従い集団で行動するマインドがある。日本の教育を終えることで、日本人はみな、教養の土台を獲得し、上司の指示をこなし、集団に寄与した行動をとる優秀な労働者となる。労働者は学校を卒業し、就職することで、安定した収入を得、おおむね30代手前で結婚し、家族を持った。家族を持つにあたり、ローンを組んでマイホームを購入することが一般的であった。ローンを組むことは、安定した収入がある故であったが、逆に考えると、ローンを組んだ以上、それを返済するまで働く必要性があることを意味する。企業はそれを終身雇用という形で保障する。また、その他にも年功序列という制度を取り入れ、労働者と企業の関係を密接なものにした。労働者がみな家族を持ち、定年まで働く一連のサイクルは、労働者の安定供給と予測の容易な需要をもたらした。容易な予測は、過剰生産の可能性を低下させ、企業の成長に多大な影響を与える。日本の高度経済成長はある種固定化されたライフプランとそれを支える教育制度によってなされた。

安定した収入というのは、定められた収入での生活を意味する。定められた収入での生活は終身雇用が保証されていた場合にのみ効力があり、日本もそれを利用した。これは、資産運用の知識を学ぶ機会を与えない結果を生んだ。日本の教育ではお金のことも使い方も学ぶことができない。

しかし、近年、IoT やそれに伴うFinTechの拡大から、金融機関やお金の概念は日々形を変えていっている。それに伴い個人がお金にどう向き合っていくか、お金への考え方や使い方まで、多様な向き合い方があるにせよ、手法を学ぶ機会は必要である。